第94回選抜高等学校野球大会 1回戦を終えて
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posted2022年3月24日 13時20分
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連日熱戦が展開される「第94回選抜高等学校野球大会」。第6日の第1試合をもって出場全32校が甲子園の土を踏んだ。
アマチュア野球取材歴34年のスポーツライター・小関順二氏に1回戦の16試合を振り返ってもらった。
吹き荒れる「投高打低」の嵐
大会前は〝打高投低″が囁かれていたが、大会が始まるとその風評とは真逆のホームランが出ない投高打低の嵐が吹き荒れている。その象徴的だった試合が5日目の「花巻東 対 市和歌山」だ。花巻東の主砲、佐々木麟太郎(2年)は高校通算ホームラン数が1年ちょっとで同校OB、大谷翔平(エンゼルス)が3年間で積み上げた56本に並ぶスラッガーだが、市和歌山のエース、米田天翼の前に4打数ノーヒット(2三振)に抑えられていた。
佐々木の打撃フォームはホームランが出やすいと言われるアッパースイングだが、投手の投げる球がアッパースイングの軌道と衝突しづらいのは高めと内角。米田は第1打席からこの高めと内角をストレートで攻め続け、佐々木のバットを封じ込めた。
大会屈指のスラッガー、佐々木麟太郎(花巻東)は1回戦で姿を消す。
急きょ出場の近江がバランスのよさを見せる
2日目の「長崎日大対近江」戦でも内角攻めが見られた。昨年夏の甲子園大会で注目された近江の山田陽翔は最速146キロのストレートに縦変化のスライダー、カーブにツーシームを交えた多彩なピッチングを展開、延長13回(165球)を投げ抜いて7安打、2失点に抑えた。新型コロナウイルスの集団感染が発覚した京都国際に代わる出場だったが、急きょ出場が決まったチームとは思えないバランスのよさを見て、近畿の実力を思い知らされた。
注目の好投手、山田陽翔(近江)
屈指の投手戦が展開された「山梨学院 対 木更津総合」
屈指の投手戦として注目されたのが3日目の「山梨学院 対 木更津総合」戦だ。越井颯一郎(木更津総合)は早い動きが一転してゆったりした動きに変わるピッチング動作で山梨学院各打者のタイミングを狂わせれば、榎谷礼央(山梨学院)は右打者の内角にツーシームを投じたあと外角にスライダーを投げるという攻撃的なコーナーワークを見せ、敗れたとはいえ強豪、木更津総合を13回まで翻弄した。
息詰まる好ゲームが展開された「山梨学院 対 木更津総合」
スキのない打撃を見せる広陵
打線で最も注目を引いたのは初日に登場した広陵だ。敦賀気比の好投手にクリーンアップの内海優太、真鍋慧、田上夏衣が3安打ずつ放っているが、打撃結果よりもどこに投げても捉えられてしまうのではないか、と思わされるスキのない打撃フォームが圧巻だった。2回戦では佐倉が主軸を打つ九州国際大付戦と激突する。
優勝候補筆頭の大阪桐蔭は上々のスタート
1回戦最後に出場した大阪桐蔭は優勝候補筆頭の名に恥じない王者の戦いを見せた。川原嗣貴と松尾汐恩のバッテリーと大会屈指の好左腕、冨田遼弥(鳴門)を攻略した攻撃陣を擁し、上々のスタートを切った。