[書籍紹介]子どものスポーツに真剣な親へ。発達段階をベースにした子育てガイド『スポーツペアレンティング』ついに邦訳
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posted2023年6月14日 8時53分
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ユーススポーツと子どもの成長の問題における米国第一人者の集大成。スポーツが我が子にとって幸せなものであるために、親はどうかかわればよいのか。
今年3月、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)での大谷翔平選手の「楽しむ」姿勢が、スポーツのあるべき姿として鮮烈な印象を残しました。
また昨今、コーチや監督の不適切な指導が取り沙汰されるようになり、スポーツにおいて勝利至上主義からの脱却が求められています。
そうした「スポーツを楽しむ」ために、親は子どもにどうかかわっていけばよいのかをまとめたのが本書です。
頭ではわかっていても、我が子への期待、勝敗がつくことなど、ユーススポーツは親が加熱しやすい傾向にあります。
著者は、30年以上前から、ユーススポーツを通じた子どもたちの心身の成長の臨床と研究を続けてきた第一人者。
監修の谷口輝世子氏の著書『なぜ、子どものスポーツを見ていると力が入るのかー米国発スポーツペアレンティングのすすめ』でも、子育てとスポーツの適切なかかわりを導く網羅的なガイドとして本書が紹介されています。
子どものスポーツ環境をうまく整えていくための3ステップアプローチ
⑴子どものことを知る(発達段階において期待できる目安、本人の置かれている状況 等)
⑵自分のことを知る(親自身のスポーツに関する挫折感、感情的になりやすい事柄 等)
⑶子どものスポーツ環境のことを知る(チームやプログラムの運営方針と実際の運用のされ方 等)
本書のベースとなる、発達段階に応じた接し方をもとにした3ステップです。
子どもとスポーツの関わりについて、身体的、精神的、社会的な側面から見つめ直します。一見、単純なことのように思えますが、各ステップを通じてアスリートとしての能力を極め、健全な心や人格を育て、真のチームワークや仲間意識を芽生えさせるための道筋をつくっていくことができます。
この3ステップは決まった順序で進めていく必要はありません。各ステップ領域で観察や思考をじっくり重ねていくことが大切になってきます。
“我が家と同じ悩み”が見つかる豊富なケーススタディ
本書は、各発達段階における解説(第1部)と保護者の悩み別(第2部)の2部構成です。
どの項目にも著者が実際に接してきた家族の例があり、スポーツを初めて行う幼児期から、大学スポーツやオリンピックレベルまで多様なケースについて、3ステップアプローチの考え方を用いて紹介しています。
やる気が出ないと一口にいっても、他の活動への興味、チームメイトとの関係、コーチとの関係、親からのプレッシャーなど、さまざまな背景を取り上げており、読者となる保護者にとって身近な課題が必ず見つかります。
【ケーススタディ】
・練習に行きたくない……内気なウェンディ(5歳)
・絶対に勝ちたい。失敗のたび暴言が出るキャリー(9歳)
・コーチの言動から試合が怖くなってしまったマーヴィン(11歳)
・初めての挫折で部屋にこもるアレックス(14歳)
・仲間はずれを恐れて、実力を出せないサンディ(15歳)
・運動能力抜群の母親と妹に劣等感を抱くホリー(15歳)
・試合相手に殴りかかってしまったザック(16歳)
・疲労骨折から摂食障害が発覚したアマンダ(16歳)
・親の善意のサポートが負担になっているローリー(17歳)
・急に競技をやめ、演劇をやると言い出したデイビッド(18歳)
など計27例を収録
スポーツは、子どもの心身の成長や頭脳の発達につながる
魅力的な活動であることには間違いありません。
しかし、人格はスポーツが形成するのではありません。人が育むのです。(本書より)
[プロフィール]
リチャード・D・ギンズバーグ/著
ハーバード・メディカルスクール助教授、マサチューセッツ総合病院(MGH)の臨床心理士。スポーツ臨床心理士として幅広い年代の診療に当たるかたわら、全米各地で、ユースから大学までさまざまなスポーツプログラムに向けて講演・相談活動を行う。過去には、ハーバード大学の男子ラクロス、女子サッカー、男女水球、女子アイスホッケー、U16とU17のアメリカ女子サッカー代表、アメリカ女子プロサッカーのボストン・ブレイカーズのスポーツカウンセリングも担当している。
ステファン・A・デュラント/著
臨床心理士。ハーバード・メディカルスクール精神医学部助教授。マサチューセッツ総合病院(MGH)の児童精神科外来に勤務。1988年以来行っていた数々の臨床活動を通じて、幼年期・青年期・成人期のスポーツや人格形成などに関する研究にも勤しんでいる。MGH医療チームの一員として、ボストン・レッドソックスやアメリカのプロアイスホッケーのボストン・ブルーインズのケアにも当たっている。
エイミー・バルツェル/著
ボート競技の元オリンピック選手。世界最高峰のヨットレース、アメカズカップの出場経験も持つ。専門はスポーツ心理学。AASP(応用スポーツ心理学会)認定カウンセラー。ボストン大学大学院ほか、2006年の春にはハーバード大学で教鞭をとる。大学アスリート、オリンピック選手、プロに至るまであらゆるレベルの競技者に対する個別カウンセリングや、各種スポーツチームへのワークショップなども提供している。
来住 道子/訳
翻訳家。スポーツ書籍、歴史書、児童書などを中心とした翻訳に携わる。訳書に『1964ー日本が最高に輝いた年 敗戦から奇跡の復興を遂げた日本を映し出す東京オリンピック』(文芸社)、『1968 世界が揺れた年』(ソニー・マガジンズ)、『アンネ・フランク 日記とともに生きつづける少女』『ナイチンゲール 人につくす喜びこそ生きる喜び』(国土社)、『シドニーの選択』(そうえん社)などがある。
谷口 輝世子/監修
1971年生まれ。京都教育大学教育学部体育学科卒。1994年、デイリースポーツ社に入社しプロ野球を担当。1998年から米国に拠点を移し、主にメジャーリーグなどを取材。2000年からフリーランスとして活動している。著書に『帝国化するメジャーリーグ』(明石書店)、『なぜ、子どものスポーツを見ていると力が入るのかー米国発スポーツペアレンティングのすすめ』(生活書院)、『運動部活動の理論と実践』(共著、大修館書店)など。
書 名:スポーツペアレンティング 競技に励む子のために知っておくべきこと
著 者:リチャード・D・ギンズバーグ、ステファン・A・デュラント、エイミー・バルツェル
訳 者:来住 道子
監 修:谷口 輝世子
判 型:A5判
頁 数:464
発売日:6月16日
価 格:2,310円(税10%)
ISBN:978-4-491-04958-8
発行元:東洋館出版社
URL:https://toyokanbooks.com/collections/sports/products/4958
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